2022年、一発目の緊急政令が出ました。
ざっくり言いますと、50歳以上の全ての人にワクチン接種義務が課せられ(昨年2回接種を完了した人は、3回目も義務)、ワクチン(及びブースター)未接種者は2月15日から仕事をする権利が奪われます。給料が支払われない上に、職場に立ち入れば600ユーロから1500ユーロ(10〜20万円程度)の罰金が課せられます。ちなみに50歳未満は仕事をする上で接種証明(有効期限6ヶ月、更新にはブースター必須)もしくは48時間以内の検査陰性証明(有料)の提示が義務づけられています。すでに、バスや電車等の交通機関、レストランやカフェ等の飲食店、ホテル等の宿泊施設は、年齢に関係なくワクチン(ブースター)接種者のみ利用可能、未接種者は立入禁止です。バスや電車に乗れないために、学校に行けない中高生がいます。また、島から出られなくなってしまった人がいます。
ワクチンの接種の有無で、仕事や、往来の自由が奪われることがあっていいものでしょうか?健康のためではなく、仕事や学校に行くために仕方なく接種をしなければならない状況です。
イタリアでは最近、週イチのペースで緊急政令が出ます。緊急事態は2020年の1月31日から出しっ放しで、毎回延長され、現時点では3月31日まで続く予定です(本来、24ヶ月を超えてはいけないはずで、すでに憲法違反ですが、お構いなしです。緊急事態中は、議会を通さずに緊急政令を出すことができます。また国会も機能しておらず、緊急政令がそのまま法律化されていきます。イタリアはこの2年で急速に自由が失われています)。
緊急政令第1号抄訳
1 50歳以上のワクチン接種義務(第1条)
(1)2022年1月8日から2022年6月15日まで、イタリア国内に居住する50歳以上のイタリア市民、他国のEU市民、外国人市民に対してワクチン接種義務が適用される。以上の規定は本緊急政令発効後、2022年6月15日までに満50歳を迎える者にも適用される。
(2)ワクチン接種免除に係る保健省通達に鑑み、一般医又は種痘医により証明された裏付けのある特定の病態に関連して健康上のリスクが確認される場合、ワクチン接種は行われない、または延期され得る。Covid-19に感染した場合は、保健省通達に基づき、ワクチン接種が可能となる最初の日付まで接種は延期される。註)最大6ヶ月。
(3)職場でのスーパーグリーンパス(ワクチン接種もしくは6ヶ月以内にコロナに感染し治癒したことを証明するパス証明及び治癒証明)使用の拡大
(ア)2022年2月15日から、国内の公共・民間部門の労働者に関しては、上記の50歳以上のワクチン接種義務が課され、国内の職場へのアクセスにはスーパーグリーンパスを所持し、提示しなければならない。公共・民間部門の雇用者は、各職場でこの遵守を確認する義務がある。
(イ)50歳以上の労働者がスーパーグリーンパスを所持していないことを伝えた場合、又は職場に入る際に同証明書を所持していない場合、同証明書を提示するまで、いずれにしても2022年6月15日までは正当な理由なく欠勤しているとみなされ、懲戒処分を受けることなく、雇用関係を維持する権利を有するものとする。正当化されない欠勤日に対しては、給与やその他の報酬、賞与等は支払われない。
(ウ)50歳以上の労働者が上記(ア)の義務に違反して職場にアクセスすることは禁止される。違反した場合、600から1500ユーロの行政罰が課される。
(4)50歳以上のワクチン接種義務に関して、以下のいずれかの違反の場合には100ユーロの行政罰が課される。・2022年2月1日時点で、初回ワクチン接種サイクルを開始していない者・2022年2月1日以降、初回ワクチン接種サイクルを完了しなかった者・2022年2月1日以降、初回ワクチン接種サイクルに続いてスーパーグリーンパスの有効期限内にブースター接種を行わなかった者
50歳以上のすべての人にワクチン接種を義務付け。昨年2回接種した人のほとんどが、2月までに2回目の有効期限が切れるので(接種が有効かどうかではなく、単にワクチンパスポートの有効期限が6ヶ月だからという理由)、2回接種済の人は3回目も義務になる。
2 2022年2月1日から、大学、芸術・音楽・舞踏高等教育機関、高等技術専門学校の職員にワクチン接種義務が適用される。(第2条)
3 基本グリーンパス(ワクチン接種証明、治癒証明、検査陰性証明の)の使用拡大(第3条)2022年3月31日まで、以下のサービスや活動へのアクセスは、基本グリーンパス所持者に限られる。
(1)対人サービス(2022年1月20日から適用)。
(2)公共機関、郵便・銀行・金融サービス、商業活動。ただし個人の必要不可欠な要請を満たすためのサービスは例外となる。同例外は本規定発効日から15日以内に首相令をもって特定される(2022年2月1日又は首相令の有効日から適用)。
ワクチンを接種するか、48時間以内に15ユーロ支払って検査を受けないと、銀行や郵便局、食料品以外の一般店舗に入れなくなるという…。まさにファシズム下のユダヤ人と化した私たち非接種者。ちなみに最近イタリアの「非接種者」の定義が変わりました。ほとんどの人の認識と異なると思いますが、テレビや政府が言う「非接種者」の定義はこちら。
レストランやカフェなどの飲食店、ホテルなどの宿泊施設は、1月10日から接種者しか入ることができません。
4 教育機関での陽性者発生の際の対応(第4条)(1)幼稚園:陽性者1名が出た場合、同じクラスでは10日間の活動停止となる。(2)小学校:クラスに陽性者1名が出た場合、同クラスでは陽性者が判明した時点、及び5日後に迅速抗原検査か分子検査を実施しつつ健康観察が行われる。 また陽性者が少なくとも2名出た場合には、同クラスでは10日間の遠隔授業が行われる。(3)中学校、高校、職業教育機関:クラスに陽性者1名が出た場合、同クラスでは自己健康観察を実施、FFP2マスク(医療用高性能マスク、自費で各自用意)を着用し、対面授業を行う。クラスに陽性者2名が出た場合、120日以内に初回ワクチン接種サイクルを完了した者、治癒した者、またはブースター接種をした者は自己健康観察を行い、FFP2マスクを着用し、対面授業を行う。それ以外の者については、10日間、統合デジタル教育を受ける。クラスに少なくとも陽性者3名が出た場合は10日間の遠隔授業が行われる。(4)いずれにせよ、呼吸器症状がある場合や体温が37.5℃以上の場合の学校施設へのアクセスは禁止する。
イタリアらしい、めちゃくちゃ複雑な規則。そしてしょっちゅう変わる規則…。そして、日本人ならともかく、イタリア人にこの複雑な規則を理解し、正しく運用するキャパはありません。学校も職場もぐちゃぐちゃ、混沌です。
2021年は学校で不織布マスクが義務だったり、不織布マスクを推しまくっていた政府。今年はそれがFFP2マスクに変わりました。このマスクはグラフェン入りで健康被害が懸念されると、カナダやフランスで流通が差し止められたりしています。そんなものを子供に長時間つけさせていいのでしょうか?