注意!
ここに書いてある運転技能試験の内容は、「ローマ限定」であり、イタリアでも他の地方では全く違う可能性大です。他の地方の方は参考にしないでください!!
5月4日(土)、ついに試験の日がやって来た!
実技試験は下の画像にある通り3段階。
第1段階:安全運転ができる知識があるか(ミラーや座席の調節が適切にできるか、警告灯や車に関する必要知識があるか)
第2段階:運転技術があるか(駐車、方向転換など、ハンドル操作ができるか)
第3段階:路上での安全運転技術があるか(発進、右左折、カーブ、速度調節、車線変更などができるか)
第2段階に進むには第1段階を合格する必要があり、第3段階に進むには第2段階を合格する必要がある。よって試験はどのタイミングでも終了する可能性があり、試験時間の制限はない。2分で終わることもあれば、30分続くこともある。全てはあなた方の能力次第です。
(と上記画像に書いてある)
第1段階の安全運転のための知識(警告灯の知識等に関する口頭試験)は、2013年に追加されたものらしい…。下記画像参照
*ネットで口頭試験があることを知った私は不安になって、自動車学校のボスに詳細を聞いた。そしたら彼女は「大丈夫、試験の前にいつもの教官が受験生集めて、第1段階で聞かれることのおさらいと、その日の試験官対策(今日の試験官はどういう運転を好むか)をしてくれるから」と言っていた…。
では、これから試験日当日の詳細を綴っていく。
8時5分前、自動車学校到着。緊張した面持ちの受験生が20人ほど。自動車学校内は誰もいない。どうも自動車学校のスタッフと本日の試験官は隣のカフェ(イタリア人の朝食、コーヒーとクロワッサン)に行ったらしい。まだ教官たちは来ていない。
8時過ぎ、いつもの教官男女2人が到着。女性教官(試験はいつも彼女が担当する車を使っているらしい)が受験生に向かって一言。
「みんな安心して。すごーくシンプルだから。学校から出て、あそこのバール(カフェ)の角を曲がって、〇〇通りを通って、坂を登って、信号を右折して学校に戻る、っていう一周するだけのコースだから」
受験生たちざわざわ…。え、ってことは駐車も方向転換もないの?よかったー!
なんかコース聞いただけで全員合格しそうな予感w
8時15分ごろ、自動車学校のスタッフと本日の試験官が朝食から帰ってきて、受験生を1人ずつ呼んで身分証の確認と仮免(foglio rosa)と現在所持している免許の回収をする。
この時、アルゼンチン?の女性が滞在許可証の提出を求められてて、持っていなかったために家に取りに帰らされていた。え?私も必要かも?と一瞬びびったが、大丈夫だった。多分もうすでに免許持っていたからだと思う(私は新規免許取得じゃなくて限定解除だから)。確かに、日本の免許をイタリアのものに書き換えた時、滞在許可証の提出が必要だった気が…。
8時20分ごろ、「はいじゃぁ皆さん外に出ましょう。誰から始める?」
えー?おさらいないんかい!いきなり始まるんかい!そして順番もテキトーかい!
「じゃぁ試験する人は女性教官の車に乗って。あと次に試験受ける4人は男性教官の車に乗って行って」
どういうシステムかわからないけど、とりあえず5人が車に乗って自動車学校を出て行った…。私は次の回で試験を受けることに…。
10分後くらいに試験の車が戻ってくる。あれ?運転手変わってる。え?もう5人全員終了したの?
というわけで次の回の5人が、1人は試験の車に、私を含む残りの4人は男性教官の運転するいつもの教習車に乗り込んだ。そしたら男の子が一人「自分も次の回で試験って言われたんだけど、座る場所ない…」と言っている。
男性教官「えー、この車はもういっぱい。どうする?親とか車出してくれる人いないの?」
男の子「兄が車で来てる」
教官「そしたら兄さんの車に乗せてもらって、私たちの車の後からついてきて」
そいうわけで、試験の車、男性教官の車、男の子の兄の車3台で2ターン目開始。まずは一人目の受験生が自動車学校の駐車場から方向転換をして公道へ。私たちはその後をぴったりとついて行く。
さてさて、前日に試験の第1段階おさらいYoutubeを見ていたのだが、その中でYoutuber教官が「後部座席もシートベルト着用義務があるから、後部座席の試験官がもしシートベルトをしていなかったら、喧嘩にならないように優しい口調でシートベルト着用のお願いをしましょう」と言っていた。これローマではどうなんだろ?前に教習中に女の子を家まで届けた時も、後部座席のシートベルト着用なんて一言も出なかったし、今まで言われたこともなければ、後部座席でシートベルトをしている人を見たことがない。今、これから試験を受ける3人の受験生が後部座席に乗っているが、誰一人シートベルトをしていない…。こりゃ、ローマでは不要だな…。
なんてことを考えていたら、車がピーピー鳴り出した。なんと!運転している教官がシートベルトを着用していなかった…w
警告音無視してシートベルトなしで運転を続ける教官。あぁ、これがローマだよなぁ…w
発車して最初の角を右折した後、前方の試験の車が右に寄せて停止した。あれ、ここで何かさせるのかな?と思ったら、なんと試験終了で運転手交代だと!先ほど女性教官が説明した試験のコース(3km程度の1周コース)、一人で1周かと思いきや、なんと5人で1周だった!つまり一人平均600m!試験時間1分くらい…w
次は、お兄さんの車で後をついてきていた男の子が試験の車に乗り、試験の車から降りてきた子がそのお兄さんの車に乗り、教官は彼らに「もう自動車学校戻ってていいぞー」と一言。
さて、私の乗っていた男性教官が運転する車の中では4人の受験生がザワザワ…。
「え?たったこれだけ?じゃあ次はどこに停車するの?」
「えー!次の回、超簡単じゃん!私やっていい?」
「じゃあ、その次私!」
「そのあと坂道発進になるじゃん、いやだー」
何しろ一人平均600mなので、あっという間に次のターン。試験を受けた女の子が降りてきて、助手席に座っていた子と交代。試験を受けた子曰く「この試験官ずっと自分のことばかりしゃべってて、全然見てない。皆んな、楽勝よ!」
3人目は直線300mくらいで終了。このターンを選んだ人はラッキーだ。試験を終わって降りてきた子曰く「名前も聞かれんかったけど、この試験官、誰が誰だか分かってるの??」
4人目の子は発進の合図(左ウィンカー)を忘れていた。けど、試験を終えて戻ってきたとき晴れ晴れとした顔をしていて(多分本人も試験官もそのミスに気づいていない)、「距離が短すぎて、3速入れた途端に終了だったわよ。慌てて2速に入れ直したけどさ」
5人目の子は坂道発進のあと信号を右折して自動車学校へ戻る、というコース。
っていうか、私まだ試験してもらってないじゃん!
というのも、最初に一人追加があったので(お兄さんの車でついてきた子)、私があぶれてしまった。というわけで、次のグループ4人ともう1周する羽目に。
3番目のグループは私ともう4人。私は自動車学校で男性教官の車を降りて女性教官の黒い車に乗った。さぁ試験開始!
試験の車には、助手席にいつもの女性教官、後部座席に試験官が乗っている。試験官は当然シートベルトなし。
まず座席位置を調節して、バックミラーと左のサイドミラーの調節、それから一昨日壊れていた右サイドミラーを指して女性教官に「これって壊れてるよね?」と確認。教官「壊れてるから触るな」。あ、やっぱり壊れたままよね…。
試験官は「はい準備できたらいつでもどうぞ」と言ったきり、後はずっと助手席のナポリ人教官とナポリピッツァの話をしている。スーパーの冷凍ナポリピッツァが許せないとか、どこどこのピッツァが美味いとかまずいとか…。
自動車学校の前の道はけっこう車通りが多くて、前の車が左折で止まったりもして、3速入れて2速に減速して停止して1速入れて発進して…、その後右折があって一旦停止、試験終了という、この5分割したコースの中ではけっこう長い、やることの多いコースに当たってしまった。
一旦停止の時にいつものように駐車しそうになったが、試験官も教官も「停止だからニュートラルに入れるんだぞー」とやんわり教えてくださる。
発進、停止の合図も出したし、下車時の安全確認もしたし、まぁ大丈夫でしょう…。
こうして私の試験は正味3分ほどで終了。
後ろの男性教官の車に再び乗る。教官、相変わらずシートベルトしてない…w
この男性教官の車の中は、友達の車に乗ってどこかに出かける若者グループのような様相を呈していて、教官も交えて皆んなでおしゃべり。
「教官、私の運転、後ろから見てどうだった?」
「試験官と何の話した?」
「距離が短すぎて、試験官が何話してたかわからんかった」
「名前も聞かれなかったけど、ちゃんと私って分かってるのかね?」
「私は名前しか聞かれんかった」
「朝食に食べたクロワッサンのせいでお腹の調子がイマイチって言ってた」
「いやー、ラクな試験官でよかったわ」
「私、昨日この道でずっと駐車の練習したわ」
「私も」
「教官、僕運転マシになったでしょ?」
教官「お前ら最初の教習はほんとひどかったわー」
午前9時、全員の試験が終了。早っ!
自動車学校のスタッフ「みなさーん、ちょっとこれからBAR(カフェ)に朝食でも取りに行っててください。免許の交付は9時30分からですー」
合格発表って言わずに「免許の交付」って言っちゃうところがね…。もうこれ全員合格でしょ!?
しかし、滞在許可証を家まで取りに帰されたアルゼンチンの女性が一人、悲愴な顔をしている。聞けば、「発進の合図と下車時の安全確認を忘れてそれを試験官に指摘された、絶対不合格だ」と言う。でも、私も発進の合図忘れてる子見たし、その子全然間違ったと思ってないし、多分大丈夫なんじゃない?
9時30分、免許交付。一人ずつ名前が呼ばれて免許が渡された。
蓋を開けてみれば…。やっぱり全員合格じゃん!!
おしまい
追記:
この試験内容だったら、はっきり言って教習しなくても合格できるんじゃないか?と思ってしまう。けれどこれも多分ローマ式の裏があって…。皆んな学校で教習を受けてきて、教官が「試験受けてもいい」と判断したから試験を受けているわけで、実際の試験は教習で行われてる、ってことなんだと思う。教官が、もうこの人は合格水準に達したと判断すれば実質合格で、試験は一応の建前(法律に則って)で行われているといったところか。
でもこれはローマの話で、イタリアも北へ行けば行くほどキッチリしていて、試験も真面目に20分とか行われるんだと思う。だから北部の自動車学校だけが試験の内容のYoutubeやサイトをあげているんだな…。
実技試験に関しては、ゆるーいローマで非常に助かった。この日ばかりはテキトーなローマに感謝。
実技はゆるゆるだけど、学科試験は日本と同じく9割以上正解しないと合格できないので、免許取得の最大の関門は学科試験ということになりそう。
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