パスカルの神学論 2

今日も私の翻訳したパスカルの本から、パスカルの思想を紹介するよ!

 私たち人間は、自分だけを愛し、自分のことだけを考える性質、つまり自己中心的な「この私」という強い自我を常に持っている。しかしながら人間には、自分が愛してやまない「この私」が、実は欠陥だらけのみじめなものであることを、どうすることもできない。

 人間は偉大であろうとするが、ちっぽけな自分を見出す。幸福であろうとするが、みじめな自分を見出す。完全であろうとするが、全くの不完全な自分を見出す。人々から愛され尊敬されたいと願うが、嫌悪と軽蔑に値する自分の欠陥を見出してしまう。

 こうした混乱は、人間の中に、信じられないほど不正で罪深い感情を引き起こす。人間は、自分の欠点を責め、自分の欠陥を思い知らせる「真実」が、死ぬほど憎いのだ。人は、できるものならこの「真実」を破壊したいと願う。しかし、当然ながら「真実」を破壊することはできない。そこで、自分の頭と他人の頭の中(意識の中)で、できるだけその真実を破壊しようと試みる。つまり、自分の欠陥を他人からも自分からも見えないように必死に隠す。人は、自分の欠陥を自覚することも、自分の欠陥が他人に知られることも、どちらも耐えがたいのだ。

パスカル『パンセ』100