小学校の頃って、将来の夢を聞かれることが多いですよね?自己紹介などのお決まりの項目に将来の夢があったように思います。
小学校低学年の頃、私は先生になるのが夢でした。学校の勉強は好きだったし、黒板に文字を書いたり、テストの採点をしたり、可愛いハンコを宿題に押したり、そんな先生のお仕事に憧れていました。それを母に言うと、「先生なんて誰でもなれる、そんなつまらないものはやめろ」と言われました。
私は絵を描くのが好きで、学校でも家でもよくお絵描きをしていました。漫画やアニメのキャラを描いて、友達に「上手!」と褒められるのがとても嬉しかったのを覚えています。そんな私を見て母親は「絵が上手だから将来は童話作家になりなさい」と言い始め、私の将来の夢が勝手に「童話作家」になっており、学校の先生や周りにそれを言いふらすようになりました。
私は絵を描くのは好きですが、物語を作ったことはないし、どちらかというと童話向けの絵(親は勝手に“いもとようこさんのような”童話作家になりなさい、とまで言っていましたが)は苦手でした。小学生も高学年になると、もっと小さい子の面倒をよく見て、「小さい子は可愛い」と言っている友達もいましたが、私はあまり小さい子が好きではなかったし、小さい子供向けの話を創作するなんて、到底できないと考えていました。
だから、ことあるごとに母親が「◯◯ちゃんは童話作家になるんだものね〜」と言うのを聞くのはとても辛かったです。
さて、本格的に将来の進路を考え出す高校1年の頃、私の本心は「美大に行きたい」でありました。それを母親に話したところ、「画家なんて食っていけない。もともとお金持ちがなるものだ、うちは画家になれる余裕なんてない」と一蹴されました。実は親戚(父の従姉妹)に多摩美卒の画家がいて、私としてはとても身近な職業だったわけですが、美大という選択肢はあっさりと却下されました。
自暴自棄になって、進路希望調査に、有名大学の法学部を書くようになりました。父の出身校、出身学部なので、誰も文句は言わないだろうという目論見で。しかし全く法律に興味なく。そして法学部なんて書いたら今度は「弁護士になれ」とか言い始めるし…。もう本当に、人の将来を勝手に決めないでいただきたい。
結局、美大には行けなくても、美術に関われる学部があるW大とK大の文学部を受けました。どちらも合格しました。ずっとW大に行きたかったのですが、父親の出身校がK大で、母親もK大贔屓で、「そこに行くだけで親孝行になる」とか言うので、最終的にはK大を選びました。
入学して親許を離れてしまえばこっちのもの。1年生の終わりに専攻を選ぶのですが、実技がしたい(勉強よりも絵が描きたい、という性格の)私は考古学を選択して、発掘やら現地調査やら、フィールドワークに勤しむようになりました。このフィールドワーク好きが高じて、今、イタリアにいるのかもしれません…。笑